カリフォルニア州のワインについて

世界第4位のワイン生産国であるアメリカ合衆国において、その生産量の8割以上を占めるのがカリフォルニア州です。太平洋に面するこの広大な州はヨーロッパの主要ワイン生産国であるフランスの約3/4の広さを誇ります。多様な気候と地形が広がるこの地域にはさまざまなテロワールやAVAが存在し、それぞれが独自の特徴を持っています。品質の高さと多様性で知られるカリフォルニア・ワインは世界中で高く評価され、同州の経済にも大きな貢献をしています。

歴史
カリフォルニアのワイン産業はスペイン人宣教師による1770年のブドウ栽培から始まり、19世紀半ばに起きたカリフォルニア・ゴールドラッシュで急成長しました。しかし、1920年に施行された禁酒法をきっかけに急激な衰退が始まり、ワイナリー数は2,500から100以下にまで落ち込んでしまいました。禁酒法の廃止後、大恐慌と第二次世界大戦の中でワイン産業を復興させることは大きな挑戦でしたが、1970年代にはカリフォルニア州のワイン生産は再び軌道に乗り、一大産業へと発展しました。現在では6,200以上のワイナリーが154のAVAでワインを生産しています。

金脈を探し、一攫千金を狙う採掘者たち
金脈を探し、一攫千金を狙う採掘者たち 

 

ナパ・ヴァレーAVA
カリフォルニアのワイン産地で最も知名度が高く、世界でも指折りの高級ワイン産地に数えられるのがナパ・ヴァレーです。しかし、その面積はたったの18,349ヘクタールと決して広くなく、ボルドーの約15%しかありません。南北に約48キロメートル、東西は最も広い場所でさえ、たったの8キロメートルしかない峡谷です。この狭い地形を特徴とするナパ・ヴァレーのワイン生産量は世界全体のわずか0.4%で、カリフォルニア全体のワイン生産量のわずか4%に過ぎません。それでも、ナパ・ヴァレーのワインは非常に高価なことから、カリフォルニア州の総ワイン収益の25%以上を占めています。ナパ・ヴァレーは1981年にAVAの認定を受けました。その後、丘陵地、谷底、谷の外など、異なる地域ごとに細分化された17のサブAVAが設定されました。これは、場所、微気候、テロワールによるワインの特性の違いが顕著であるためです。

ソノマAVA
サンフランシスコから北へ車で1時間。ナパ・ヴァレーと太平洋に挟まれた場所にあるソノマ・カウンティは、アメリカの高級ワイン産地の中でも多様で、ダイナミックかつ魅力的な地域の一つです。現在進行中の地球の気候変動問題にも積極的に取り組み、持続可能な環境を構築する上で先駆的な役割を果たしています。ソノマの総面積は約40万ヘクタールで、そのうちブドウ畑に使用されるのはわずか約6%ですが、ワイン業界の影響は大きく、総収穫価値の71%を占め、ワイン業界の総GDPの40%を占めています。西には太平洋が約122キロメートルに広がっており、その海洋からの影響で地域は涼しい気候に恵まれています。気候は主に乾燥した地中海性気候で、標高は海抜0m~792mと幅広く、山岳地帯、谷、ベンチランド、海岸の岩肌など、多彩な地形が広がっています。この多様な環境下で約66種類もの多様なブドウ品種が育てられており、カリフォルニアで最も多くのピノ・ノワールを生産しているほか、シャルドネも2番目に多く生産しています。

ソノマ・コーストの畑
冷涼な気候のワイン産地 ソノマ・コーストの畑

 

モントレーAVA
サンフランシスコから南へ200km、太平洋を望む美しい海沿いのリゾート地としても知られるモントレーは高品質なワインとワイン用ブドウの栽培地として、米国でも有数の規模を誇っています。10のAVAに広がるブドウ栽培面積はカリフォルニア全体の10%近くを占め、なかでもシャルドネはカリフォルニア最大、ピノ・ノワールはソノマに次いで2番目に広く栽培されています。また、モントレー湾にある海溝はブルーキャニオン(モントレー海溝)と呼ばれ、グランドキャニオンの2倍の深さを誇ります。太平洋の寒流は、この海溝に沿って流入し、海底からは冷たい深層水が湧き上がっています。ここからの冷涼な風は、ブドウ栽培に大きな影響を与え、湾に近い北部では気温が低く、涼しい気候が特徴ですが、南部に行くほど温暖になり、夏の1日の南北の気温差は最大で22度にも達します。この多様な気候条件により、モントレー内で異なるブドウ品種の栽培が可能となり、スパークリング・ワイン用のブドウからローヌ品種、ジンファンデルまで、多彩なブドウ品種が栽培されています。
 

最新統計データ
ワイナリー数 6,200
ヴィンヤード数 5,900
ブドウ栽培面積 246,858ha (610,000 エーカー)
https://wineinstitute.org/our-industry/statistics/より